派遣薬剤師のデメリットは何か?デメリット対策を考える

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目次
  • 派遣薬剤師のデメリットの把握は極めて重要
  • 派遣薬剤師のデメリットは何か?
    • 【派遣薬剤師のデメリットその1】派遣先が見つからない
      • 派遣先が決まるまで予定が組みにくい
      • 最終的に案件がなくて無職となることがある
    • 【派遣薬剤師のデメリットその2】エージェントの仕事ぶりに左右される
    • 【派遣薬剤師のデメリットその3】人間関係をいちから構築
    • 【派遣薬剤師のデメリットその4】薬局ごとにシステム・内規を覚え直し
    • 【派遣薬剤師のデメリットその5】毎月の税金、社会保険料が比較的高い
  • デメリットごとの対策
    • 【デメリット1 派遣先がみつからない】の対策
    • 【デメリット2 エージェントの仕事ぶりに左右される】の対策
    • 【デメリット3 人間関係をいちから構築】の対策
    • 【デメリット4 薬局ごとにシステム・内規を覚え直し】の対策

派遣薬剤師のデメリットの把握は極めて重要

「派遣薬剤師」という働き方が気になっている薬剤師の方から、「派遣薬剤師のデメリットって何?」と直接聞かれたことがあります。

このブログの検索キーワードでも、「派遣薬剤師 メリット」よりも「派遣薬剤師 デメリット」のほうが多いです。

派遣薬剤師のデメリットについて知りたいと思う薬剤師はそれなりに多いのでしょう。

しかし、SNSでは派遣薬剤師のメリットについてばかりアピールされており、デメリットについては発信が少ないです。SNSに出てくるリール動画などは、薬剤師紹介会社の「広告」だからです。

「派遣薬剤師だから〜土日休みで〜時給も3200円だから、欲しいものも買えるし〜♪」という広告が流れていますが、実際にはそんなに甘くないです。

とはいうものの、デメリットがあるから派遣薬剤師はダメだとは思いません。

向き不向きはあるものの、薬剤師の働き方の一つとして大きな選択肢です。

まずは派遣薬剤師のデメリットをしっかり把握することが重要と考えます

派遣薬剤師として様々な薬局を渡り歩く るろうに薬剤師 が派遣薬剤師で働くことのデメリットを忖度なくお伝えします。

派遣薬剤師のデメリットは何か?

派遣薬剤師のデメリットを順に解説していきます。

【派遣薬剤師のデメリットその1】派遣先が見つからない

最大のデメリットは「派遣先の案件が見つからないこと」です。

デメリットはほぼこれだけと言っても過言ではないくらい、大きなデメリットです。

では、「派遣先が見つからない」というデメリットが意味することを考えてみましょう。

派遣先が決まるまで予定が組みにくい

現在の派遣先の契約が残り1ヶ月くらいになると、現在の契約の更新(延長)の有無の確認があります。

契約更新(延長)がない場合には別の派遣先を探すことになります。

しかし、先方の契約更新の判断が遅かったり、案件が少ないとなかなか派遣先が決定しません。

薬局業界は、休業日が変則的なので、案件が決まるまで翌月以降のプライベートの予定を立てづらいというデメリットが発生します。

現在の契約終了まで残り10日を切って決まるなど、ギリギリのことも多い印象です。

最終的に案件がなくて無職となることがある

ギリギリで派遣先が決まればまだいいですが、最終的に現在の派遣先の契約期間が終わるまでに次の派遣先が決まらないこともあり得ます。

「派遣先案件がなければ、薬剤師免許証を持っていても、ただの無職の人」です。

派遣する薬局がなければ、給与をもらうことができないばかりか、派遣会社の社員で居続けることもできず、強制的に退職という扱いになります。

派遣会社の社員の身分を失うと、以下の事態となります

派遣会社の社員でなくなると
  • 履歴書上で「退職」扱いとなる。
  • 派遣を一定期間(フルタイムだと6ヶ月以上)続けて獲得した有給休暇を全て失う
  • 保険証は退職翌日に返却しなくてはならない。

一つ一つ確認していきましょう。

履歴書上で「退職」扱いになる

転職が一般的になってきたとはいえ、調剤薬局業界においても、勤続年数はそれなりにチェックされます。

特に正社員で働く場合、勤続年数が半年、1年程度のものが複数あると警戒されます。

20代の薬剤師ならあまり影響しないと思いますが、30代、40代で短期間の職歴が複数あるのは、結構マイナスで、今後社員で働きたいと思った場合、採用してもらえない可能性が出てきます。

かくいう私も1-2年の職歴が複数あり、紹介会社経由で某ドラッグストアチェーンに応募しましたが、断られた経験があります。

紹介会社に払う紹介料は100万円単位になりますから、1-2年程度で退職されると会社としては痛手です。

「すぐに辞めそうな薬剤師」というレッテルがつくリスクがあります。

獲得した有給休暇を全て失う

派遣薬剤師にも有給休暇は法定のルールで付与されます。

週に40時間勤務する派遣薬剤師であれば、6ヶ月派遣薬剤師として勤務すると10日の有給休暇が付与されます。

有給休暇は働かなくても、日数分の給与が発生するわけで資産と考えることもできます。

案件が途切れて望まない退職となったとしても、有給休暇は全て消失してしまいます。

ちなみに、有給休暇は派遣期間中でしか使うことができません。

そのため、派遣期間終了後にまとめて有給を取得するという使い方はできません。

保険証は退職翌日に返却

退職すると、健康保険証は翌日から使用できません。

  • 派遣会社の保険組合に任意継続被保険者として加入する
  • 国民健康保険に加入する
  • 家族の保険の扶養に入る

のいずれかの対応が必要です。

任意継続にしても、国民健康保険にしても退職前の保険料よりも大幅に高くなります。

それなら、家族の扶養に…と考えがちですが、扶養に入るためには、通常、むこう1年間の収入見込みが130万円以下という条件があります。

この収入見込みというのがネックです。

月の平均収入が108,333円を超えると向こう1年間では、130万円を超えるので、扶養から外れなくてはいけません。

この収入には失業手当も含まれます。

派遣薬剤師の時給をベースに失業手当を受給すると、働いていた時間数にもよりますが、10.8333円は超えることが多く、扶養に入るのは難しそうです。

【派遣薬剤師のデメリットその2】エージェントの仕事ぶりに左右される

派遣薬剤師に限らず、派遣労働者という働き方をすると、「エージェント」という担当者がつきます。

会社によって呼び方は異なり、「キャリアコンサルタント」などと呼ぶ会社もあります。

エージェントは、紹介会社(派遣元会社)の社員です。

どんな仕事でもそうですが、エージェントも仕事ができる人と、できない人の差が非常に大きいです。

派遣薬剤師だとエージェントの影響をもろに受けます。

私は、正社員での転職活動時、派遣薬剤師で活動時を合計して、4-5社の紹介会社にお世話になったことがあります。

エージェントの質は会社ごとに、どこがしっかりしているというのはあまりなくて、個人差かなと思います。

社員薬剤師は採用されるとエージェントの関係は終わりですが、派遣薬剤師は、そのエージェントとの関係がずっと継続します。

残念ながら、こちらから連絡しないと新しい案件を探してこないエージェントもいます。

そのような場合、エージェント任せにしていると簡単に無職になってしまいますので、定期的に連絡をとり、動いてもらうように依頼していかないといけません。

【派遣薬剤師のデメリットその3】人間関係をいちから構築

私自身は、新しい人間関係を構築するのは苦ではないですが、人によってはストレスに感じ、デメリットに感じるでしょう。

一つ屋根の下で日中お仕事をするので人間関係をうまく構築するのは極めて重要で、調剤スキルと同じくらい重要と考えています。

ただ、正社員やパートのように無期限に付き合う関係性ではないので、一定の距離感を保ちつつ、協力的に接していけば数ヶ月の派遣期間を乗り切るのはさほど難しくないです。

【派遣薬剤師のデメリットその4】薬局ごとにシステム・内規をいちから覚える

各薬局ごとにある「調剤内規」。

働く場所が変われば当然これも覚え直しです。

これは派遣薬剤師では避けられないことなので諦めましょう。

  • 電子薬歴システム
  • 分包器の使い方
  • 一方化や散剤の調剤、印字の方法
  • 投薬で説明すること、しないこと
  • 門前のDrごとの特徴や注意点

いろんな薬局で仕事することが増えてくると、電子薬歴システムの使い方や分包器の使い方などは経験のあるものが増えてきます。

経験値が上がってくると、さほど苦労せずに仕事できるようになります。

【派遣薬剤師のデメリットその5】毎月の税金、社会保険料が比較的高い

派遣薬剤師は基本的に時給制です。

「時給×勤務した時間数」で給与が計算されます。

月額あたりの給与を比べると正社員の薬剤師よりも高くなることが多いです。

そのため、「標準報酬月額」で決定される毎月の社会保険料や税金関係がやや高めになることがあります。

しかし、最終的には、正社員ではボーナス時にも社会保険料がひかれるので、年収が同じであれば、ほぼ同じ程度の手取りになるため、損というわけではありません。

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